国際情報交換 -ロスアンゼルス普及指導派遣チーム報告



アメリカ・ロスアンゼルスにおける普及指導セミナの実施について(報告)

副会長 西村信寛

2005年7月2日、3日の両日、日本からの指導普及チームがロスアンゼルスに赴き、指導セミナおよび交流試合を行った。この計画はアメリカシニアソフトテニス協会黄鵬発会長の熱心な要請により、ロスアンゼルス近郊のソフトテニス愛好者に対する技術指導と交流を通じて、一層の普及発展を促進するために実施したものである。黄氏は台湾出身で、1961年、全台湾教職員選手権大会優勝、1959年から13年間連続台湾国体出場などと活躍された。ロスアンゼルス移住後は現地の台湾グループを中心にソフトテニス愛好者を募り、熱心にソフトテニスを楽しみながら普及活動を行っている。
以下に今回の普及指導セミナ内容や現地の実情などを報告する。

1. 海外から見たソフトテニス国際普及の諸問題と提言(黄氏レポートの要約)
20年程前米国に移住した。最初の2・3年間好きなソフトテニスをしたくて100キロ位周辺のテニスコートを車で探し回ったが残念ながらソフトテニスは見当たらなかった。台湾では朝夕聞き慣れた「ポシ、ポシ、ポシ」という音が聞こえないのを残念に思っているうちに、10数年を経過してしまった。ソフトテニスの普及は日本と馴染みの深いアジア諸国であれば問題がないと思われるが、欧米諸国では難しいと思う。この数年間ロスアンゼルスには多くの日系人がいるのでその中にはソフトテニス経験者もいると思って何回も日系新聞に広告を載せてもらったが連絡は皆無であった。また日系銀行に頼んでもだめであった。日本に比べ、安く、手軽にできるゴルフや何処でも出来る硬式テニスに同化してしまうと思われる。欧米でのソフトテニス普及は想像以上に難しい。現地の硬式テニスレッスンプロに依頼することも彼らの「職務」や「礼金」を考えれば無理がある。
最もよい方法は日本から指導者を派遣することと現地に住んでいる日系、台湾系愛好者の協力を得ることだと思う。学校への普及はどうか。これまた無理であろう。日本、台湾、韓国などは小中学生から始まる各種の大会が多く行われ、高校、大学生は国の代表に選ばれて国際大会に出場するのも珍しくない。米国本土では駄目である。米国高校生の大学への進学は学科の成績のほかに体育での活動も推薦種目であるが、ソフトテニスはその中に入っていない。指導者もいない状況である。1998年日本連盟国際委員の内藤尚男さんが米国加州州立ノースリッヂ校で1年間ソフトテニス授業を行った際、帰国の1か月前に教え子の学生とわれわれとの交流試合が行われた。しかしその後は多分枯れたことであろう。米国の大学生に対しては将来お金が稼げるか、国際大会出場できるかなどの魅力が必要で、今のソフトテニスでは難しい。
米国に住んでいる日、韓、台系のシニアソフトテニス経験者のために私は米国シニアソフトテニス協会を創立した。2002年池田会長(日本シニア協議会)の招聘で、米国は初めて第15回アジアシニアソフトテニス選手権大会に出場した。選手たにも良い思い出になった。その後プレーヤーが増え、次の大会での好成績を目指し、毎週土、日曜に練習、シニアだけでなく2,30代の若者も一緒にプレーしている。やはり国際大会に出場できる魅力であろう。」

2. 黄鵬発氏からのロスアンゼルス訪問要請(要約)
「私はソフトテニス愛好者の一人として米国での普及に尽力しようとこの7~8年間ロス近隣3ヶ所に種をまき、徐々に芽が出てきました。プレーヤーは100人に達し、メンバーはシニア層だけでなく青少年も多くおります。米国での普及発展には諸問題がありますが、是非一度ロスアンゼルスにお出でください。ソフトテニスに愛着のある彼らにご指導いただきたいと思います。あわせて当面の普及における問題も報告します。貴連盟の今後の欧米諸国での普及活動にも大いに参考になると思います。3月~6月あるいはそれ以降でも結構です。概ねの日程は2日間で1日目は若いプレーヤーとの指導マッチ、メンバーへの指導セミナ、特に軟式前後衛の戦法、技術などを教示。2日目は若いプレーヤーと日本選手を交えた指導試合。競技規則などの研修を予定しています。」

3. 訪問メンバー、日程
以上の要請を考慮し、次のメンバーを編成し、7月2日から6日の日程でロスアンゼルスに赴いた。なお費用は各自負担を原則に海部カップチャリティー資金の一部をご支援いただき、JSTA派遣のかたちで実施した。
  団長       越前真生(日本シニアソフトテニス協議会副会長)
  役員       西村信寛(日本ソフトテニス連盟副会長)
  コーチ兼選手  百町善明(ナガセケンコーチーム監督)
  コーチ兼選手  篠邊 保(東邦ガスチーム監督)
  選手       武元望美(瑞穂中コーチ、元ナガセケンコー選手)
  選手       木本尚美(元ヨネックス選手)
【日程】
  7月2日(土) 成田出発 同日午前中にロス空港着
  7月2日(土) 午後から現地メンバーと練習会、交流マッチ(約30名参加)
  7月3日(日) 午前中前日に引き続き練習会(約50名参加)
           午後は現地メンバーのトーナメント(16ペアー参加)
           日本選手を交えた交流マッチ
  7月4日(月) 市内観光
  7月5日(火) ロスアンゼルス発
  7月6日(水) 成田着
団長からのメッセージ(セミナプログラム掲載用)
「アメリカシニアソフトテニス連盟黄鵬発会長のご尽力により、貴地を訪問し、ソフトテニスの交流を行う機会ができましたことを心から喜んでおります。
ソフトテニスは日本で生まれ、120年の歴史と伝統のある大衆スポーツであり、日本においては最もポピュラーなスポーツの一つですが、まだ国際的には普及途上にあり、現在日本を中心に国際的な普及活動を行っております。その成果とし現在国際ソフトテニス連盟への加盟は40カ国(地域)近くなり、2003年に日本の広島市で開催された第12回世界ソフトテニス選手権大会にはそのうち30カ国(地域)が参加し、欧米からも10カ国以上の参加を見るまでになりました。今のところUSAではあまり活動がありませんが、このたびの訪問を機に、皆様方愛好者を中心に、今後さらに普及発展することを願っております。訪問チームメンバーはいずれも日本のトップで活躍しているコーチと選手ですので、皆様方にソフトテニスの素晴らしさを十分味わっていただくとともに、技術的な向上にも役立つものと期待しております。貴地の愛好者の皆様とお会いし、ともにソフトテニスをプレーできることを楽しみにしております。」

4. セミナ・交流マッチの状況
2日間に亘って行われた指導セミナと交流マッチには土曜日約30人、日曜日には約50人が参加し、予期以上に盛会であった。メンバーは殆どが台湾系で、シニアが中心であったが、中には若い人も数名おり、12-3歳の少年も参加した。ただ女子が見られなかったのはちょっと寂しい気がした。また小松和三(こまつかずお)さんという日本の広島市から40程前に移住された方がおられ、われわれがロス空港におり立った時から帰りの出国時まで、送迎や練習、ホテルの滞在や食事など黄氏とともに一切のお世話をしてくださった。クラブでは唯一の日本人と云うことで懐かしさもあってかとても親切で、おかげで我々も気兼ねなく楽しい時間を過ごすことができ大いに感謝している。
土曜日のセミナは午後から始まり、まず開会式では我々メンバーと参加メンバーが相対して整列し、黄会長から歓迎の言葉、今回訪問の趣旨と訪問メンバー一人ひとりの紹介があり、続いて越前団長が挨拶を行った。引き続き百町コーチを中心にセミナに入り、準備体操を全員で行い、日本選手を相手にグランドストローク。メンバーはもともと台湾においてソフトテニスを経験、または見聞している者が多く、現在は日常硬式テニスをしているものの、軟式の感覚を持っており、ある程度の基本は出来ているようであった。グランドストロークの後はボレー、スマッシュの練習。ソフトテニスに慣れているとはいえ、イースタングリップのプレーヤーが殆どであり、ネット際でのいわゆる前衛のプレーは難しいようであった。しかし皆非常に熱心でコーチのアドバイスを良く聞き、質問をしながら、積極的に取り組む姿勢が見られ、場所はアメリカには違いないが、実質はアジアそのものの感じであった。
一通り練習が終わったところで若い選手が日本の選手にマッチの挑戦。2マッチが行われたが、この2ペアーはなかなかレベルが高く中にはソフトテニスのかなりの経験者と思えるものもおり、日本の選手も手の抜けない状況であった。
後で聞いてみると一人は廖彬淳さんと云い、中華台北の代表選手として世界大会で活躍し、チャンピオンにもなった廖南凱選手の従兄弟とのこと。さすがであった。
2日目は朝から開会式の後、昨日の延長でグランドストローク、ボレー、スマッシュなどの基本練習。更に応用の前衛練習を行った。少し慣れたせいか,皆、昨日にまして意欲的であった。若い選手は今後このような練習を続ければ、国際的にもかなりのレベルになるのではないかと感じられた。午後からは予定通りトーナメントを実施。16ペアーが参加し、熱戦が展開された。昨日の若手2ペアーは別格でこのトーナメントには参加せず、トーナメント終了後日本選手とペアーを組んでデモンストレーションマッチを行った。いずれも見ごたえのある熱戦であった。更にトーナメントの優勝ペアーが日本の女子選手にマッチの挑戦を申し入れ、女子選手がそれを受けたが、さすがの優勝ペアーもこれには歯が立たなかった。
最後にトーナメントの表彰式とセミナの終了式が行われ、写真撮影などを行って、関係者の喜びの表情のなかにすべての予定を終了した。

5. 黄氏からの礼状(抜粋)
「このたびは日本ソフトテニス連盟からセミナと交流にご来訪いただき、深く感謝申し上げます。長旅でお疲れのところ休まずに会場にお出でいただき2日間のセミナと交流試合ご苦労様でした。セミナ中に百町、篠邊、木本、武元各コーチ、選手から表れたソフトテニスの魅力と技術をこちらのプレーヤーはよく拝見しました。また真剣に習いました。良い経験でした。今後当地でのソフトテニス発展、技術向上に大いに役立つでしょう。
プレーヤー達は日本の一流コーチ、一流選手にお会いし、一緒にソフトテニスをプレーできたことを大変喜んでおり、深く感謝申し上げます。
できればまたセミナのできることを願っています。」



1 ロスアンゼルス空港での熱烈歓迎


2 百町コーチによる技術指導


3 セミナ参加者記念撮影


4 訪米日本チームメンバー


5 トーナメント大会入賞者




Copyright : Japan soft tennis association. All Rights Reserved.